淋病の検査について
執筆者:日本性感染症学会認定医 内田千秋
淋病とは、淋菌(Neisseria gonorrhoeae, gonococci)の感染による性病です。
感染経路のほとんどは性行為(粘膜接触)によるものです。
感染者との一度の性行為で約30%の確率でうつるほど、感染力が強いとされています。
淋病に感染すると、男性は尿道の違和感や激しい痛み、ドロっとした膿が出てくるといった症状が現れ、放置しておくと精巣上体炎といった病気を発病したり、男性不妊になる可能性があります。
女性は男性に比べ症状が乏しいことが多いですが、膿のようなおりものが出るなどの症状が現れます。放置しておくと卵管炎や腹膜炎、子宮頸管炎を引き起こしたり、不妊や早産の原因にもなります。
さらに、近年はオーラルセックスやアナルセックスにより、咽頭と肛門の感染例も増えています。
感染していても症状が出ないこともあり、知らないうちに感染を広げてしまっている可能性があります。
【検査の種類】
「遺伝子による核酸増幅法」
無症状でも高い精度での検査をすることができ、性器以外にものどや肛門の検査が可能です。
PCR法
二重螺旋構造になっているDNAを熱により分解することで、分解された部分に酵素がくっついていき、DNAを伸ばして増幅して行く方法です。
TMA法
1つの細胞に1個しかないDNAの遺伝子ではなく、数千個存在しているrRNAの遺伝子をターゲットにして検査を行います。
ターゲットとなったrRNAに酵素がくっついてDNAの合成と分解を繰り返し、RNAを増幅させていく検査方法です。
「簡易即日検査」
イムノクロマトグラフィー法
性器に症状が強く出ている方向けの検査です。
尿や腟分泌液から抽出液を作って、検査キットに滴下することで結果がわかります。
30分程度で結果がわかりますが、遺伝子を調べる検査法に比べて、検査の精度が低いというデメリットがあります。
また、イムノクロマトグラフィー法では、のどや肛門の検査をすることが出来ません。
【あおぞら研究所での検査】
あおぞら研究所では、PCR法やTMA法による検査を行っています。
直近の性行為から24時間が経過していれば検査が可能で、非常に高い精度で調べることができます。