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HIVについて

執筆者:日本性感染症学会認定医 内田千秋

HIVとは、Human Immunodeficiency Virus(ヒト免疫不全ウイルス)のことをいいます。

HIVウイルスが体内に侵入すると免疫細胞に感染し、免疫細胞を破壊します。

免疫細胞が破壊されると、抵抗力が著しく下がってしまいます。そのため、日常では感染しないような病気に感染したり(日和見感染症)、悪性腫瘍などが発生したりすることがあります。

2015年に国連合同エイズ計画(UNAIDS)は、世界のエイズの流行の現状に関する報告を行いました。これによると、世界のHIV感染者数は3670万と推定されます。

患者数の推移

HIVの平成11年~30年の年別報告数の推移をグラフにしたものです。

HIV感染者とAIDS患者を合わせた新規報告数は平成25年をピークとし、ともに横ばいからやや減少傾向となっています。

性別では、HIV感染者とAIDS患者を合わせた新規報告数の9割を男性が占めており、感染経路は、ともに過半数が同性間性的接触によるものです。

年齢別に見ると、HIV感染者は20〜30代、AIDS患者は20歳以上に幅広く分布し、30〜40代(特に40歳代)に多い傾向が続いています。なお、15~19歳の年齢層においては、女性の割合が他の年齢層に比べて多く見られるのも特徴です。

 

情報元:国立感染症研究所> (数値を当方でグラフにしました)無断転載禁止

症状

感染後2~4週経過してから、重度の風邪、インフルエンザの様な症状が出現することがあります。

この症状はHIV感染者の約9割に出現していると推定されますが、他の急性ウイルス症候群の時と区別がつきません。ほとんど場合は1~2週間で症状が無くなります

また、全く症状がなく罹患するケースも多くあります。 主な症状の内容は、次のとおりです。(かっこ内は発症率)

発熱(96%):39℃以上となることが多くみられます。
リンパ節腫大(74%):左右対称に症状が現れます。
咽頭炎・発疹(70%):とくに顔面、体幹、手や足などに多くみられます。
筋肉、関節痛(54%):風邪の時の体の痛みと同様の症状が現れます。
その他に、下痢(32%)、頭痛(32%)、嘔吐、悪心(27%)、肝腫(14%)、口腔カンジタ(12%)、神経症状(12%)などがみられます。

ただし、HIVに感染したからといって、これらの症状が必ず表れるわけではありません。また、症状が表れたからといって、HIVに感染している訳でもありません。

症状からでは判断できないため、検査が必要になります。

感染経路

主な感染経路として、血液感染、母子感染、性的接触による感染の3つがあげられます。

血液感染

HIV感染者が薬物などで使用した注射針を非感染者が再使用するなど、血液を介して起こる感染です。非常に少ないですが、毎年感染者の報告がされています。

母子感染

母親から子にHIVが感染するリスクには、妊娠中の胎内感染、出産時の産道感染、母乳を与えることによる感染(経母乳感染)などがあります。 近年、母子感染の予防法がほぼ確立し、発生数は非常に少ないですが、未だ原因のひとつになっています。

性的接触による感染

最も多い報告が、性的接触による感染です。2015年の国内における新規HIV感染者報告例(911件)によると、性的接触による感染は887 件(88.2%)ですが、そのうち異性間によるものは196件(19.5%)、同性間によるものは691 件(68.7%)でした。

 

潜伏期間

HIVの潜伏期間には2種類あります。

初期症状までの潜伏期間と、エイズ(AIDS)発症までの潜伏期間です。 エイズ(AIDS)発症までの潜伏期間についてですが、短くなっているのではないかと考えられています。過去、HIVに感染すると通常は5~10数年を経てエイズ(AIDS)を発症すると言われていました。

しかし、2000年以降、HIV感染から5年以内でエイズ(AIDS)を発症したという報告が多くなっています。現在のHIVの潜伏期間は3年くらいと考えるのが現実的なようです。

近年のアメリカでは新規感染者の3人に1人は、感染から1年以内にエイズ(AIDS)を発症しています。アメリカと日本ではエイズ(AIDS)発症の基準が違うためそのまま比較はできないのですが、潜伏期間が世界的に短くなっているのは確かです。

HIVは非常に変異しやすいウイルスなので、病原性の強いタイプに進化したという意見もあります。それでも、感染した人すべてが3年くらいでエイズ(AIDS)を発症するわけではありません。進行のスピードにはかなりの個人差があり、1年以内に発症する人もいれば10年以上経ってから発症する人もいます。どのくらいでエイズ(AIDS)を発症するかということは一概にはいえません。ただ、全体として潜伏期間が短い人が増えているということだけは確かです。

少しでも気になることがあれば、早めに検査を受けるようにしてください。

 

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